46.ワンルームマンション

新築ワンルームマンション

「もしもし〜出世が早くなるマンション経営いかがですか〜」と突然の電話を受けたらどうしますか?「えっ?出世が早くなる?少し話しを聞いてみようかな」なんてって思しまいますよね。これは以前私が勤めていた事業用不動産販売会社の同僚が行っていた電話セールスのトークです。いきなり自宅や職場に電話をかけてきてあの手この手で話を聞かせようと考えるのです。ちなみに出世が早くなると言うのはマンションを買って借金すれば一生懸命仕事をして、そうすれば出世が早くなるというくだらない事なのですが、いきなりかかってきた電話では、それだけでつかみは十分ですよね。少し話しだけでも聞こうかなんて思えば相手の思うつぼです。そこから爆裂トークが始まります。

 営業マンのトーク

「月々1万円前後の負担で将来の年金替わりになります。年金なんて将来あてにあてにならないでしょ?しかも団体信用保険が無料(金利組み込み)でついているので万一の場合には保険金でマンションの借金が無くなり、その後は賃料収入があるので残された家族も安心。保険料は無料ですので今加入している生命保険も必要なくなります。よってその分毎月の負担もなくなります。節税対策にもなります。マンション経営をすると原価償却など経費を確定申告する事で今まで払っていた所得税、住民税の一部が戻ってくるのです。そして資産にもなります。マンションを買うと言っても賃料が入ってくるのでローンと家賃収入でキャッシュフローは2000万円程度のマンションで月額1万円強の持ち出しで出来るのです。毎月1万円強支払って35年後ローンが終わると月額家賃が全額入ります。また購入時にはオーバーローンを組んで諸費用も借り入れますので契約金の110万円をお支払い頂ければ、ローン決済時には入居者から預かっている敷金が入りますし結局は買った時点で数十万円のお金が手元に入り、確定申告すると税金の戻り数十万円が銀行口座に振り込まれます。その金額を支払いに充てれば月額の持ち出しなんてプラスの転じますよ。つまり入ってくる賃料でローンを払って資産を作りローンが無くなれば毎月賃料全額が手元に入るのです。」

 なんて営業マンは夢のようなトークを繰り広げます。と、ここまで書くとすっかり新築ワンルームを購入したくなって本を閉じ、新築ワンルームマンション購入に走り出す読者も出てくるかも知れません。ちょっと待ってください!上手い事ばかりです。営業マンが言った事はすべてがウソではありません。しかしここで冷静になってください。この事の大部分は不動産投資全般に言えることでワンルームマンションだけにいえる事ではありません。つまり全体を比較して考えなければならないのです。大きな違いは手付金1万でも10万円でも初められる不動産投資ということだけです。(オーバーローン) 

冷静に比較してみればもっと良い利回りや有利な商品は沢山あるのです。

ワンルームというのは文字通り一つの部屋です。入居率は0%か100%しかないのです。大事な事は入居率100%で資金計画をしても入居者が退去したら入居率0%となると言う事です。そうなった場合はつまり利回り0%です。0%というのは入居者が居ない場合、不動産経営という事業を行っているオーナーはローンの支払いだけは免れませんのでオーナー家庭は大変な事になるということです。多少の手数料を払って家賃保証をしてくれる売主もあります。しかし、それはその会社が倒産したら終わりです。ローン期間中倒産しない保証のある会社なんてありません。絶対安全な不動産投資はありませんが、低リスクだから不動産投資をするのです。しかしこれでは高リスク商品となってしまいます。また利回りだって新築ワンルームマンションは低利回りです。現在都内で通常販売されている新築ワンルームマンションは利回り45%程度です。本当に良い物件はこの程度の利回りだって十分な利回りの場合もありますが、中古物件を市場で見てみますともっと高利回り物件は沢山存在します。分譲業者から、かかってくる電話のセールストークには冷静な目で対応しましょう。もっと良い商品は沢山あるって事です。また表面だけの利回りで判断してはいけません。不動産投資では出るお金はローンの支払いだけではないのです。固定資産税・都市計画税・修繕積立金・入退去に伴う修繕補修・不動産業者に払う入居斡旋費用・火災保険などは必ず必要になります。確かに確定申告をする事により住民税・所得税など支払って税金はある程度戻ります。しかし、当然減価償却以外支払った金額以上のお金は戻らないです。減価償却だって年々落ちてゆくのです。長期の計画としてはこれらの臨時出費に耐えられる資金計画も見据えて行かなければならないのです。そうなると今後金利が上昇した場合、仮に金利3%利回り4.5%の物件では赤字の垂れ流しとなってしまいます。

 表面利回りでの計算例

2000万円の新築ワンルーム 借入35年 家賃7.5万円 管理費修繕積立金等1万円  表面利回り4.5%での試算

 

金利(3%)の場合

毎月支払   76971円 +修繕積立金等10000

家賃収入  75000 

差し引き  11971  (オーナー月額負担分)

 

金利(4.5%)の場合

毎月支払   94652円 +修繕積立金等10000
家賃収入  75000円 

差し引き  29652  (オーナー月額負担分)

 

つまり金利が1.5%アップするだけで月額の支払いは10000円強から30000円弱となるのです。さすがに「毎日のコーヒー代程度と支払は同じです」と言われた支払いから毎日の昼食分以上の支払いでは一般サラリーマンは大変です。そこから火災保険や税金などのランニングコストを支払うのです。空室が出た場合には家賃さえ入りません。確かに税金の戻りはありますが、経費やローンで支払った金額以上は戻りません。そして一番大事なことは定年後までの期間でローンを組んでいると言う事です。ローン期間は最長35年です。35年ローンでようやく最初の営業トークが成り立つのです。25歳でローンを組んで定年ぎりぎり、それ以上の年齢の方、定年後はどうするのですか?だから年金換わりなんてならないのです。途中で売却?多額のローンが残っているのに?それは土地が今後は右肩上がりに上昇して行く事が大前提。建物だって古くなるのです。前回のバブルの頃のワンルームマンションの専有面積は16uが主流でした。今のワンルームマンションは概ね20u以上です。人口だって減少します。10年後20年後のワンルームマンションはもっと広い面積が求められるはずです。そんな古い、狭いマンションが抵当権設定の金額(物件購入価格)以上で売れると思いますか?営業マンは目先のおいしい数字だけデフォルトして肝心な事なんて言いません。

またそこまで考えません。上司に言われた通りのトークをして目の前の契約=歩合を手にする事しか考えていませんから。ワンルームマンション販売の会社は常に営業社員募集しているのです。どういうことかと言えば使い捨て社員だからです。あなたがローンを払い終わるまで会社には居ません。そんな社員のトークを信用して数千万円の物を買ってはいけないのです。

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